あなたも誘惑に勝てます!
「ポルノを見ようと思ってはいなかったのですが,インターネットにつないだら,広告が現われたので,つい,クリックして開けてしまいました」。―コーディー。 *
「職場の魅惑的な女の子から言い寄られるようになって,ある日,『ホテルに行って“遊ぶ”のはどう?』と言われました。彼女が何を望んでいるのか,僕には分かっていました」。―ディラン。
「僕は何にも負けはしない。ただ,誘惑には弱いけどね」。この言葉から,一部の人々が誘惑をどうみなしているか,よく分かります。心の奥底では,誘惑されることを望んでいるのです。一方,誘惑をしつこい敵とみなし,何としてでも打ち負かしたいと思っている人もいます。あなたはどう思いますか。誘惑に遭ったら,屈してもよいでしょうか,それとも,抵抗すべきでしょうか。
もちろん,誘惑に屈したら必ず大問題になる,というわけではありません。例えばクッキーを余分に食べてしまったからといって,人生が台なしになったりはしません。しかし,他の誘惑 ― 特に性の不道徳への誘惑 ― に負けると,悲惨な結果になる場合があります。聖書には,「姦淫を犯す者は心が欠けており,そうする者は自分の魂を滅びに陥れる」という警告が記されています。―箴言 6:32,33。
では,不道徳な誘惑に遭った場合,どう反応すべきでしょうか。聖書はこう答えています。「これが神のご意志……です。すなわち,あなた方を神聖なものとし,あなた方が淫行を避けることです。そしてあなた方一人一人が,自分の器をいかに聖化と誉れのうちに所有すべきかを知(ることです)」。(テサロニケ第一 4:3,4)しかし,どうすればそのような強い意志を持てるでしょうか。助けになる3つのことについて考えてみましょう。
その1: 見ない
官能的な映像を見るなら,ふさわしくない欲望が募るだけです。イエスは,目と欲望との関連を,「女を見つづけてこれに情欲を抱く者はみな,すでに心の中でその女と姦淫を犯したのです」と述べ,強烈な誇張法を用いて,「もしあなたの右の目があなたをつまずかせているなら,それをえぐり出して捨て去りなさい」と勧めました。(マタイ 5:28,29)要するに,誘惑を退けるためには,断固として,挑発的な映像を見ないようにしなければならない,ということです。
例えば,溶接工のトーチランプの閃光を目にした自分を想像してみてください。それを見つめますか。そんなことはマタイ 6:9,13。コリント第一 10:13。
しないでしょう。視力が損なわれないよう,目を背けるか覆うでしょう。同じように,性欲をかき立てるものに出くわしたなら,すぐ目を背けましょう。印刷された画像であれスクリーン上の映像であれ実物であれ,見ないようにすべきです。思いを汚されないように守ってください。かつてポルノ中毒だったフアンは,こう言っています。「魅力的な女性を見かけると,よくもう一度,さらにもう一度眺めようという気になります。それで,強いて目を背け,自分自身に,『エホバに祈るんだ。今こそ祈る必要がある』と言い聞かせます。祈ると,衝動はすぐに収まります」。―ヨブという忠実な人についても考えてみましょう。ヨブは,「契約をわたしは自分の目と結んだ。それゆえ,どうしてわたしは自分が処女に対して注意深いことを示すことができようか」と述べました。(ヨブ 31:1)わたしたちもヨブと同じような決意をするのがよいでしょう。
やってみましょう: 性欲をかき立てるものからは,すぐ目を背けます。「無価値なものを見ないよう,わたしの目を過ぎ行かせてください」と祈った聖書筆者に倣うのです。―詩編 119:37。
その2: 考えない
わたしたちは皆,不完全な人間なので,間違った欲望を抱いて葛藤することがあります。聖書には,「おのおの自分の欲望に引き出されて誘われることにより試練を受けるのです。次いで欲望は,はらんだときに,罪を産みます」と述べられています。(ヤコブ 1:14,15)どうすればそのような抜け出し難い悪循環に陥らずにすむでしょうか。
間違った欲望が湧き起こった時には,どう反応するかを自分で選べるということを思い起こしましょう。その欲望と闘うことです。それを頭の中から除き去ってください。不道徳なことを空想してはなりません。トロイという男性は,かつてインターネット・ポルノのとりこになっていましたが,こう述べています。「頭の中から間違った考えを消し去るために,積極的な良いことだけを考えるよう努力しました。生易しいことではなく,何度も後戻りしてしまいましたが,ついには考えることを制御できるようになりました」。エルサという女性は,十代の頃,不道徳行為への誘惑との葛藤
がありましたが,「いつも忙しくし,エホバに祈ることによって,間違った考えを抑えることができました」と語っています。やってみましょう: 不道徳な考えが浮かんだら,すぐその考えをやめて祈ります。間違った考えと闘うために,頭の中を次のようなことで一杯にしてください。「何であれ真実なこと,何であれまじめなこと,何であれ義にかなっていること,何であれ貞潔なこと,何であれ愛すべきこと,何であれよく言われること,また何であれ徳とされることや称賛すべきこと」を考えるのです。―フィリピ 4:8。
その3: 近寄らない
欲望と誘惑と機会が重なると,たちまち問題に陥りかねません。(箴言 7:6‐23)どうすればそれを避けることができるでしょうか。
聖書は賢明にも,「災いを見て身を隠す者は明敏である。しかし,経験のない者たちは進んで行って,必ず報いを身に受ける」と諭しています。(箴言 22:3)ですから,近寄らないようにしましょう。問題を引き起こしそうな状況を見越して,それを避けるのです。(箴言 7:25)ポルノ中毒を克服したフィリップという男性は,こう述べています。「家族のコンピューターをみんなの見える所に置き,インターネットの有害サイトにはアクセスできないようにもしました。今は,他のだれかが近くにいる時にしかネットにつなぎません」。同様に,先ほど紹介したトロイも,「扇情的な動画や映画を見ないようにし,セックスについて露骨に話す人たちとは付き合わないようにしています。自ら害を身に招くようなことはしたくありませんからね」と言っています。
やってみましょう: 自分の弱点を正直に認め,前もって,誘惑に身をさらすことになりそうな状況を回避する方法を考えておきましょう。―マタイ 6:13。
あきらめてはなりません
最善を尽くしてきたのに弱くなって誘惑に負けてしまったら,どうでしょうか。気落ちして努力をやめる,という状態に陥ってはなりません。「義なる者はたとえ七度倒れても,必ず立ち上がる」と聖書は述べています。(箴言 24:16)そうです,天の父はわたしたちを励まして,立ち上がらせてくださるのです。あなたは,神の愛のこもった助けを受け入れますか。であれば,祈って神に頼ることにうみ疲れてはなりません。聖書を学んで信仰を育み,クリスチャンの集会に出席して決意を強めてください。神の述べておられる,「わたしはあなたを強くする。わたしはあなたを本当に助ける」という約束を思い起こして,元気を出してください。―イザヤ 41:10。
冒頭で紹介したコーディーは,「ポルノを見る習慣を断つには大変な努力が要りました。何度も挫折しましたが,神の助けを得て,ついには断ち切ることができました」と言っています。やはり初めに紹介したディランも,こう述べています。「職場の女性とセックスしようと思えばできましたが,妥協せず,『そうするつもりはない』と言いました。良心に何のやましさもないので,晴れやかな気持ちでいられます。さらに重要なのは,エホバが僕のことを誇らしく思ってくださっていることです」。
あなたも,堅く立って誘惑に勝つなら,『神はわたしのことも誇らしく思ってくださる』と確信できます。―箴言 27:11。
^ 2節 この記事に出てくる名前は変えてあります。